SESの将来性は本当にないのか?AI時代に生き残るエンジニアのキャリア戦略

はじめに|「SESは将来性がない」は本当なのか?

「SESに将来性はない」

そんな言葉を、インターネットやSNSで見かけたことはないでしょうか。

特に最近は、ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、

  • AIがコードを書くようになった
  • プログラマーの仕事がなくなるのではないか
  • SESは今後厳しくなるのではないか
  • このままエンジニアを続けて大丈夫なのか

と、不安を感じるエンジニアも増えていると思います。

私自身も、地方のSES企業で働く中で、将来のキャリアについて悩んだ経験があります。

実際に、なぜこのブログを始めたのかについては、こちらの記事で詳しく書いています。

地方SESとして働く私が『エンジニア成長研究所』を始めた理由

これまで、

  • 保険システム開発
  • 大手コンビニ向けPOSシステム開発
  • 大手旅行会社向け出張管理システム開発

などの案件を経験してきました。

一方で、自分のキャリアを見直すために転職活動や企業研究を進める中で、

  • 大手SIer
  • 社内SE
  • ITコンサルタント

といったキャリアについても調べてきました。

そこで感じるようになったのが、

「SESそのものに将来性がないのではなく、変化や成長を止めてしまったエンジニアの将来性が厳しくなるのではないか」

ということです。

この記事では、現役SESエンジニアである私自身の経験も交えながら、

  • なぜSESは「将来性がない」と言われるのか
  • AIによってエンジニアの仕事はどう変わるのか
  • DXによってIT人材にどのような需要があるのか
  • AI時代に価値が高まるエンジニアとはどのような人なのか
  • SESエンジニアが今から取り組むべきキャリア戦略

について考えていきます。

結論|SESの将来性より「成長し続けられるか」が重要

先に結論を言うと、私はSESという働き方そのものがなくなるとは考えていません。

むしろ重要なのは、

「SESで働いているかどうか」ではなく、「その環境でどのようなスキルを身につけているか」

だと考えています。

AIによって、コード生成やテスト、ドキュメント作成などの作業は効率化されていくでしょう。

一方で、

  • 顧客の課題を理解する
  • 業務を整理する
  • 要件を定義する
  • システム全体を設計する
  • 関係者と調整する
  • プロジェクトを推進する

といった仕事まで、すべてAIだけで完結するわけではありません。

そのため、これからのエンジニアには、

「コードを書く能力」だけではなく、「ITを使って課題を解決する能力」

がより重要になると考えています。

なぜSESに将来性がないと言われるのか

まず、なぜ「SESはやめておけ」「SESに将来性はない」と言われるのかを整理してみます。

また、「SESはやめとけ」と言われる理由については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

SESはやめとけと言われる理由とは?地方SESで働く私が本音で解説

AIによってコーディングの仕事が減る可能性がある

近年、

  • ChatGPT
  • GitHub Copilot
  • Gemini

などの生成AIが急速に普及しています。

AIを活用すれば、コードのたたき台を作ったり、エラーの原因を調べたり、ドキュメントを作成したり

する作業を短時間で行えるようになりました。

実際、Googleが公表した2025年のDORA調査では、調査対象となったソフトウェア開発関係者の

AI利用率が90%に達したとされています。

つまり、AIは「これから使われる技術」ではなく、すでに開発現場に入り始めている技術です。

そのため、

「今まで人間がやっていた作業の一部がAIに置き換わる」

という考え方には、一定の現実味があります。

「言われたことだけをやる仕事」は厳しくなる

AIによって効率化されやすいのは、ある程度手順が決まっている作業です。

例えば、

  • コードの生成
  • テストケースの作成
  • ドキュメント作成
  • エラー調査
  • 情報収集

などです。

もちろん、これらの仕事がすべてなくなるわけではありません。

しかし、

「指示された内容をそのまま実行するだけ」

という働き方では、AIとの差別化が難しくなっていく可能性があります。

例えば、

「この仕様書通りにコードを書いてください」

という仕事だけをしている人と、

「そもそも、この業務はなぜこの方法で行っているのか?」

「もっと効率化できないか?」

まで考えられる人では、提供できる価値が違います。

SESの人月ビジネスにも変化が起きる可能性がある

SESでは、人月単位でエンジニアの稼働を提供するケースがあります。

しかし、AIによって一人あたりの生産性が大きく向上すれば、

「何人のエンジニアが必要なのか」

という考え方にも変化が起きる可能性があります。

例えば、これまで5人必要だった開発作業を、AIを活用することで3人で対応できるように

なるかもしれません。

そうなれば、単純な人員補充型の案件は、今後競争が激しくなる可能性があります。

だからこそ、

「人数として必要とされるエンジニア」から「成果を生み出せるエンジニア」へ

変わっていくことが重要だと考えています。

それでもIT人材の需要がなくならない理由

ここまで読むと、

「やっぱりエンジニアは将来なくなるのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、私はそうは考えていません。

むしろ、日本では別の問題があります。

DXを推進する人材が不足していることです。

IPAの「DX動向2025」では、日本企業の8割超がDXを推進する人材の量について不足していると回答しています。

つまり、

AIによって一部の仕事が効率化される一方で、ITを活用して企業を変えていく人材は不足している

という状況です。

DXによって「ITを使って課題を解決する人」が必要になる

企業のDXでは、単純に新しいシステムを導入するだけではありません。

例えば、

  • 紙で行っている業務をデジタル化する
  • 古いシステムを刷新する
  • クラウドへ移行する
  • データを活用する
  • 業務プロセスを改善する
  • AIを業務に導入する

など、企業によって課題は異なります。

IPAの2026年調査でも、国内企業ではAI導入が広がる一方、AI活用の効果は業務効率化・迅速化が中心で、企業価値創出やビジネス変革への展開はまだ限定的とされています。

つまり、

AIを導入するだけではなく、「AIを使って何を変えるのか」を考える人材が必要になる

ということです。

レガシーシステムの需要も当面なくならない

日本企業では、長年使われてきたシステムも数多く存在します。

例えば、

  • COBOL
  • VB.NET
  • オンプレミス環境
  • 古い業務システム

などです。

こうしたシステムは、単純に「古いから明日から新しくする」というわけにはいきません。

既存業務との関係やデータ移行、コスト、セキュリティ、現場への影響など、さまざまな問題を考える必要があります。

そのため、

  • 保守
  • 改修
  • 移行
  • システム刷新
  • クラウド化

などを担うエンジニアは、今後も必要になるでしょう。

AIはエンジニアを不要にするのか?

私は、AIによってエンジニアの仕事がすべてなくなるとは考えていません。

むしろ、

エンジニアの仕事の中身が変わっていく

と考えています。

例えば、

これまで

「コードを書く」

↓

これから

「AIを使ってコードを書き、内容をレビューする」

という形になるかもしれません。

また、

これまで

「大量の資料を読む」

↓

これから

「AIに情報を整理させ、人間が判断する」

という働き方も増えていくでしょう。

AIは非常に便利な道具ですが、最終的に、

  • 何を作るのか
  • なぜ作るのか
  • 本当に必要なのか
  • どの業務を改善するのか
  • どのようなリスクがあるのか

を判断する必要があります。

AI時代に厳しくなるエンジニアとは

では、逆にどのようなエンジニアが厳しくなるのでしょうか。

指示待ち型のエンジニア

言われたことだけを実行し、

  • なぜこの作業をするのか
  • もっと効率化できないか
  • 他に問題はないか

を考えない働き方です。

AIによって定型作業が効率化されるほど、この差は大きくなると考えています。

コーディングだけをしているエンジニア

プログラミング能力は、これからも重要です。

しかし、

「コードを書けること」だけでは差別化しにくくなる

可能性があります。

AIによってコードを書くスピードが上がれば、コードそのものより、

  • 何を作るか
  • どのように設計するか
  • どんな問題を解決するか

が重要になります。

学習を止めてしまうエンジニア

IT業界は変化が速い業界です。

数年前には当たり前だった技術が、今では古くなっていることもあります。

AIの登場によって、その変化速度はさらに速くなっています。

そのため、

「今できること」だけで安心してしまうのは危険です。

AI時代に価値が高まるエンジニアとは

では、どのようなエンジニアを目指せばいいのでしょうか。

私は、次の5つが重要になると考えています。

① 要件定義ができる

顧客の話を聞き、

「本当の問題は何なのか?」

を整理できる能力です。

単純に「システムを作ってください」という依頼を受けるだけではなく、

「なぜそのシステムが必要なのか」

まで考えられる人材です。

② 設計ができる

AIにコードを書かせる場合でも、設計ができなければ正しいコードか判断できません。

そのため、

  • システム構成
  • データ設計
  • API
  • セキュリティ
  • 性能
  • 保守性

などを考えられる能力が重要になります。

③ 業務知識がある

私は、今後この能力が特に重要になると考えています。

例えば、

  • 保険
  • 金融
  • 流通
  • 製造
  • 物流

などです。

業務を理解していれば、

「この会社では何が問題なのか」

を考えられます。

技術と業務知識の両方を持つ人材は、AI時代でも価値を出しやすいでしょう。

④ AIを使いこなせる

これからは、

AIを使わないことが強みになるのではなく、AIを正しく使えることが強みになる

と考えています。

例えば、

  • コードのたたき台を作ってもらう
  • コードレビューを依頼する
  • エラー原因を分析してもらう
  • テストケースを作成する
  • ドキュメントを作成する
  • 設計案の比較をさせる

などです。

AIにすべて任せるのではなく、

AIを優秀なアシスタントとして使う

という考え方が重要です。

⑤ 顧客やチームと会話できる

意外と見落とされがちですが、コミュニケーション能力も重要です。

システム開発では、

「技術的に正しいもの」

を作れば終わりではありません。

顧客が求めているものと違えば、価値は生まれません。

そのため、

  • 顧客の話を聞く
  • 課題を整理する
  • 技術的な内容を分かりやすく説明する
  • チームを動かす

といった能力も重要になります。

大手SIerの需要はどうなるのか

ここからは、私自身の転職活動とも関係する話です。

私は転職活動や企業研究を進める中で、

大手SIerの仕事がAIによってすぐになくなるとは考えにくい

と感じています。

例えば、

  • 官公庁
  • 金融機関
  • インフラ企業
  • 大手企業

などのシステムでは、多くの関係者が関わります。

そこで必要になるのは、

  • プロジェクト管理
  • 顧客との調整
  • ベンダーコントロール
  • 要件整理
  • 品質管理
  • リスク管理

などです。

AIがこれらを支援することはあっても、

人間同士の利害関係をすべて自動で調整することは簡単ではありません。

コーディング効率が上がるほど「上流工程」が重要になる

AIによってコードを書く時間が短くなれば、

「何を作るか」

「なぜ作るか」

「どう設計するか」

を考える時間の価値が相対的に高まります。

例えば、

「AIにコードを書かせる」

こと自体は、多くのエンジニアができるようになるかもしれません。

しかし、

「そもそもこのシステムを作る必要があるのか?」

という判断は別の問題です。

だからこそ、

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 顧客折衝
  • プロジェクトマネジメント

などの上流・マネジメント能力を身につけることは、今後のキャリアにおいて重要になると考えています。

私自身が考えるSESエンジニアのキャリア戦略

SESでの経験を今後のキャリアにどうつなげていくかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

地方SESで3年以上働いて感じたSESのリアル|入社前に知りたかったこと

では、地方SESで働く私自身は、これからどうするのか。

現在考えているキャリア戦略は次の5段階です。

STEP1|開発経験を積む

まずはシステム開発の基礎を身につける。

実際のプロジェクトを経験し、

  • プログラミング
  • テスト
  • デバッグ
  • システム理解

などの経験を積み上げます。

STEP2|設計経験を増やす

次に、単純な実装だけではなく、

  • 詳細設計
  • 基本設計
  • データ設計
  • システム構成

などに関わることを目指します。

STEP3|業務知識を深める

私自身もこれまで保険、コンビニPOS、旅行会社向けシステムなどの案件を経験しました。

これらの経験を単なる「開発経験」で終わらせず、

「その業界の業務を理解した経験」

として積み上げていきたいと考えています。

STEP4|AI活用スキルを身につける

これからはAIを避けるのではなく、積極的に活用します。

例えば、

  • コード作成
  • コードレビュー
  • エラー調査
  • 技術調査
  • ドキュメント作成

などです。

そして重要なのは、

「AIを使って何を効率化できるか」

を考えることです。

STEP5|より上流の仕事へ挑戦する

最終的には、

  • 大手SIer
  • 社内SE
  • ITコンサルタント

など、より顧客課題や業務改善に近い仕事にも挑戦したいと考えています。

私自身、単なるプログラマーではなく、

「業務を理解し、ITを使って課題を解決できる人材」

を目指しています。

2030年に価値が高いエンジニアとは?

私は、2030年頃のエンジニアには、次のような能力が求められると考えています。

  • AIを活用できる
  • 設計ができる
  • 業務知識がある
  • 顧客と会話できる
  • 問題を発見できる
  • プロジェクトを推進できる

つまり、

「コードを書く人」から「課題を解決する人」へ

という変化です。

AIによってコードを書く作業そのものは、これからさらに効率化されるでしょう。

一方で、

「何を作るべきなのか」

「どの業務を改善するべきなのか」

「どうすれば顧客に価値を提供できるのか」

を考える仕事は残ります。

むしろ、こうした能力の重要性は高まっていくのではないでしょうか。

SESエンジニアが今から始めるべき5つのこと

ここまで読んで、

「じゃあ、自分は何をすればいいの?」

と思った方もいると思います。

私なら、まず次の5つから始めます。

① 今の案件の業務内容を説明できるようにする

「C#で開発しています」

だけではなく、

「誰が、どのような業務で、何に困っていて、そのシステムが何を解決しているのか」

まで説明できるようにします。

② 設計書を読む力を身につける

実装だけではなく、

「この設計はなぜこうなっているのか」

を考えながら設計書を見るようにします。

③ AIを毎日の仕事で使ってみる

最初から難しいことをする必要はありません。

例えば、

「このエラーの原因を考えて」

「このコードを説明して」

「この処理のテストケースを考えて」

とAIに質問するだけでも構いません。

④ 自分の業務を言語化する

これは転職活動でも役立ちます。

例えば、

「C#を使いました」

ではなく、

「○○という業務を理解し、○○の処理を担当した」

と説明できるようにします。

⑤ 3年後のキャリアから逆算する

今の会社にずっといるかどうかを決める必要はありません。

重要なのは、

「3年後にどんな仕事ができるようになっていたいか」

を考えることです。

例えば、

プログラマー

↓

設計

↓

上流工程

↓

PL・PM

↓

ITコンサル

というように、自分なりのキャリアを考えてみます。

まとめ|SESの将来性より、自分の市場価値を考える

「SESには将来性がない」

という意見には、AIによる定型作業の自動化や、人月ビジネスへの懸念など、一定の理由があります。

しかし、

SESという働き方そのものがなくなるとは限りません。

重要なのは、

その環境でどんなスキルを身につけるか

です。

AIによって、

  • コーディング
  • テスト
  • ドキュメント作成
  • 情報収集

などは、これからさらに効率化されていくでしょう。

だからこそ、

  • 設計力
  • 業務知識
  • 課題解決力
  • コミュニケーション能力
  • AI活用能力

を身につけることが重要になります。

私自身も地方SESとして働きながら、転職活動や企業研究を進める中で、

「キャリアは会社任せにするのではなく、自分で設計するもの」

だと考えるようになりました。

もし今、

「このままSESを続けて大丈夫なのか」

と不安を感じているなら、すぐに退職する必要はありません。

まずは今の仕事を振り返って、

「自分は今の仕事から何を身につけられるのか?」

を考えてみてください。

そして、

「3年後、どんな仕事ができるエンジニアになりたいのか?」

を決める。

そこから逆算して、今の仕事・学習・転職活動を組み立てていけばいいと思います。

AI時代に必要なのは、AIと競争することではありません。

AIを使いながら、人間にしかできない価値を高めていくことです。

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